2013年5月29日水曜日

日本医師会、ノバルティスファーマ社に説明責任を果すように求める!

『医師会:販売元ノ社は「説明責任を」 降圧剤問題で

毎日新聞 2013年05月29日 19時45分(最終更新 05月29日 20時41分)
 
降圧剤「バルサルタン」の臨床試験問題で、日本医師会が29日、販売元の「ノバルティスファーマ」に説明責任を早急に果たすよう求める見解を発表した。ノ社は社内調査をして一部の関係学会に報告したものの、全容は公表しておらず、情報開示に消極的な姿勢に批判が高まっている。
 東京都内で記者会見した今村聡副会長は「社内調査したといっても、どんな人がしたのかすら不明だ。お手盛りではないかと疑念を持たれても仕方がない。広く医師、患者、国民に対して公にすべきだ」と述べ、批判した。
 医師会は ▽臨床研究への疑念は患者の健康に影響を与えかねない▽この薬には医療費が支払われていることを重く受け止めるべきだ▽海外からも疑惑を持たれており、成 長戦略と位置づける日本の医薬品の信用にとってマイナス▽研究成果は販促に利用された。製薬企業による公正性を欠く関与は許されない−−との見解を示し た。【河内敏康、八田浩輔】


日本医師会も怒ってますね。

2013年5月28日火曜日

バルサルタンの臨床試験操作疑惑 会社ぐるみか?

『クローズアップ2013:降圧剤の臨床試験操作疑惑 会社ぐるみ?広がる波紋

毎日新聞 2013年05月25日 東京朝刊


  降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)の臨床試験に製薬会社「ノバルティスファーマ」が不透明な関与をしていた問題で、日本医学会は「産学連携は時 代の流れなのに、これでは社会から信頼されなくなる」と、憤りを隠さない。医学界と製薬業界が近年神経をとがらせる「利益相反」上の問題だけでなく、「売 り上げ増のために、企業が大学に働きかけて臨床試験の結果をねじ曲げたのではないか」という疑惑に発展しているからだ。関係した各大学や学会、ノ社のスイ ス本社が、それぞれ調査を始める異常事態だが、真相究明は可能なのか。【河内敏康、八田浩輔】

 ◇欧米有力誌も注目

  「日本の研究スキャンダルが第2の試験に広がった」。この問題は世界的な関心も呼んでいる。米有力経済誌「フォーブス」(電子版)が5月2日、東京慈恵会 医大チームによる試験論文にも、ノ社の社員が名前を連ねていたことを報じた。「第1の試験」は京都府立医大での試験を指す。試験結果の信ぴょう性が疑われ て昨年末に学術誌から撤回(取り消し)されたうえ、社員の関与も表面化している。

 英大手科学誌「ネイチャー」も、ブログで「京都府立医大の研究室に会社側が1億円を寄付していた」と報じた3月28日の毎日新聞を引用しながら、「大ヒット商品が撤回論文とつながっている」と紹介した。

  ノバルティス(スイス)は世界140カ国に展開。バルサルタンは約100カ国で承認されている。日本では年間1000億円以上売り上げるヒット商品となっ た。宣伝に利用されたのは、「脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの予防効果もある点で、他の降圧剤より優れている」とした両大学チームの論文だった。だ が、データの信頼性が揺らいでいる。

 疑惑を招いた要因は二つある。一つは「社員が試験の統計解析の責任者だった」という、研究の公平性と透明性を担保するために欠かせない重要な情報が、論文から隠されていた点だ。

 日本医学会の高久史麿会長は24日、「許し難い行為で明らかに誤りだ。日本は国からの支援が少なく産学連携は必要だが、これで日本の臨床試験が遅れれば大変なことになる。透明性を持って連携しないと、日本にとってもマイナスだ」と強調した。

 もう一つは、試験結果の信頼性そのものだ。昨年、京都大病院の由井芳樹医師が「京都や慈恵の論文は、統計的に考えにくい結果となっている」とする論文を発表した。実際に、日本循環器学会誌と欧州心臓病学会誌が「データに重大な問題がある」として京都の論文を撤回した。

NPO「臨床研究適正評価教育機構」の桑島巌理事長は「販売目的で会社がデータを不正に操作したと疑われても仕方がない側面がある。不正がはっきりすれば、会社が医療費をだまし取ったという構図になり、大問題だ」と指摘する。

 現場の医師たちの関心も高い。東京都内の男性医師(50)は「臨床試験は、どの薬を処方すべきかという判断材料になる大切な情報。その論文に科学的な問題や恣意(しい)的なデータ操作があれば許せない」と話す。

 ◇真相究明、遠く 任意調査、カネは追わず

  ノバルティスファーマは24日、「極めて重大な問題と認識している。さらに調査を進め、必要かつ適切な措置を講じる」とコメントした。だが、大学側への聞 き取りや試験データの精査を行う予定はなく、真相究明にはほど遠い。試験をした5大学や関係学会も独自に調査しているが、試験に関係していない研究者らが 本業の合間を縫って行う任意調査だ。しかも中心は論文のデータ検証で、カネの流れまでは追わない。

 ノ社からは各大学に奨学寄付金が支払われているが、寄付を所管する文部科学省の産業連携・地域支援課は「利益相反のルールは各大学で整理すること。個別の事例を調査する予定はない」と、関心は薄い。

  一方、医薬品行政を担う田村憲久厚生労働相は24日の閣議後会見で「(ノ社に)強く指導せざるを得ない」と述べた。発言を受けて動き出した厚労省経済課は 「製薬業界の信頼を揺るがす事態。ノ社から事情を聴き、再発防止と調査の徹底を求めることになる」と言う。だが、問題が多岐にわたるうえ、「現在のとこ ろ、国が承認した(血圧を下げる)薬の効能・効果には影響がない」(審査管理課)ため、現状では抵触する法律がない。

 各大学で試験を実施した責任研究者らは、現場の医師に向けて、この薬には血圧を下げる以外にもさまざまな効果があると説き、売り上げに貢献してきた。だが、一連の問題を受け、ノ社はこうした論文を宣伝に使うことをやめた。過去の宣伝活動に問題はなかったのか。

 医薬品広告の不正表示を監視する同省の監視指導・麻薬対策課は「警察ではないので、立ち入りして実態を把握することもできない」。

 医療ガバナンスが専門の上(かみ)昌広・東京大医科学研究所特任教授は「真相究明には、臨床研究が始まった経緯や金銭の流れの解明も欠かせないはずだ。それぞれの当事者が説明しても疑惑が解消されなければ、強制捜査権を持つ司法の力も必要になるだろう」と話す。

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 ◇降圧剤バルサルタンの臨床試験を巡る動き

00年11月   ノバルティスファーマが日本での販売を開始

02年~     東京慈恵会医大チームが試験を開始

         京都府立医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大の各チームも順次試験を始める

07~12年   慈恵を皮切りに5大学が論文を公表。バルサルタンのPRに利用される

12年4月~   英医学誌ランセットなどに名大を除く4大学の論文の結果を疑問視する意見が掲載される

13年2月 1日 欧州心臓病学会誌が京都の主論文を「重大な問題がある」として撤回

     12日 ノ社が社長会見で京都チームについて「会社としての関与はない」と見解

     28日 京都チームの責任教授が辞職

   3月28日 本紙が「京都チーム試験に社員が関与」と報道

   5月 2日 本紙が「全ての試験で社員関与」と報道

     22日 ノ社が社内調査を経て「不適切だった」と一転謝罪



調査が公正に行われるとよい。

2013年5月26日日曜日

ノバルティスファーマ社、内部調査で自社社員関与不適切と認める!

降圧剤論文:社員関与、一転「不適切」 製薬会社内部調査


毎日新聞 2013年05月23日 02時30分(最終更新 05月23日 02時30分)

 降圧剤「バルサルタン」を巡る臨床試験に、製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)の社員が関与して いた問題で22日、同社が社内調査結果を明らかにした。社員が関与したことについて「臨床試験結果に疑念を生じさせることになった。不適切だった」と謝罪 した。上司もこの社員を支援していたことが分かったが、組織ぐるみだったかは「確認できなかった」とした。
 取材に明らかにした。今回の調査は、スイス本社が4月に始めたものとは別に、日本法人が京都府立医大の チームによる論文が撤回された2月ごろに開始。社員らから聞き取った。大学の研究者は対象にしておらず、試験データの精査もしていない。結果は22日に日 本医学会、日本循環器学会などに報告した。
 社員は、▽京都府立医大▽東京慈恵会医大▽滋賀医大▽千葉大▽名古屋大の5大学による薬の効果を検証す る試験に関与し、複数でデータ解析にかかわっていた。「試験ごとに関与の仕方は違った」というが、詳細は明らかにしなかった。「意図的なデータの操作や改 ざんに導いたことを示す証拠は見つからない」とした。
 複数の社員が「企業の社員でも(大阪市立大の非常勤講師という)研究者としての肩書で臨床研究を支援するなら、問題は生じないと信じていた」などと説明したという。
 2月の記者会見で当時の三谷宏幸社長(現最高顧問)は「試験は医師主導で、我々は一切試験に関与していない」と述べていたが、同社は「事実と相違していた。訂正しおわびしたい」とした。
 この社員は今月15日付で退職。同社は「契約が切れたためで、今回の問題とは無関係」と説明した。【八田浩輔、河内敏康】


『バルサルタンの医師主導臨床研究について

2013年5月22日

最近、バルサルタンの承認後に日本で実施された医師主導臨床研究について報道されております。医師主導臨床研究は、医師に よる独立した運営委員会が企画、設計し、実施するもので、研究や科学的な理解に多大な貢献を果たしています。ノバルティスは、医師主導臨床研究がこのよう な形で実施され、研究結果が信頼できる確実なもので、かつ独立性が保たれたものとなることが極めて重要であると信じています。
報道では、バルサルタンの承認後に日本で実施された医師主導臨床研究に関連して、当社の元社員が試験に関わった可能性があることや、その元社員が当時当社の社員であることを開示していなかったことなどが指摘されています。
ノバルティスは、これらを極めて深刻に受けとめ、日本で2001年から2004年の間に開始されたバルサルタンの医師主導臨床研究について、第三者である外部専門家による包括的な調査を4月に開始しました。
このほど、関連する学会および当該研究を行った方々などに対して、これまでの調査にもとづく現状を報告しました。 主な内容は以下の通りです。
一人の元社員(以降「当元社員」)は、度合はそれぞれ異なるものの、5つのバ ルサルタンの医師主導臨床研究にかかわっていました。また、当元社員の部下である別の元社員も、そのうちの1つの研究に関係していました。全貌の解明には まだ調査が必要ですが、これまでに以下のことが判明しました。

国内におけるバルサルタンの医師主導臨床研究の論文数本に、当元社員が当社社員であることの開示がなされないま ま謝辞中に記載されていました。当元社員は、自分が当社の社員であるということを表記するように、それらの論文の著者に対して要請しなければならなかった ということを、当社は認めます。

当元社員が、いくつかの研究でデータの解析にもかかわっていたことが判明しました。これまでの調査で、意図的な データの操作や改ざんに導いたことを示すものは判明していません。研究者や研究機関が、適切な方法でそれぞれの研究結果を検証する際には、当社はできるか ぎり協力します。このような検証を実施することで、当社の外部専門家による調査の結論の精度が高まると考えるからです。

これら5つのバルサルタンの医師主導臨床研究に当元社員を関与させるという明確な戦略が当時当社にあったとは特 定できていません。しかしながら、一方で、当時の上司の中には、当元社員のこれらの研究へのかかわりを認識し、支援していた者がいたことが判明していま す。彼らは、企業の社員であっても、保有する研究者としての肩書の立場で臨床研究を支援するならば、利益相反の問題を生じないと信じていました。なお、現 時点では、当時の上司が、これらの研究の発表論文において当元社員の所属の開示が不十分であったことを知っていた、もしくは、承認していたことを示すもの はありません。

これらの研究を実施していた研究者の中には、当元社員が当社の社員であることを知っていた研究者がいたことが調 査の中で確認されています。その一方で、当元社員のこれらの研究への関与内容は、現在のノバルティスの行動規範や医師主導臨床研究の基本原則に鑑みれば、 不適切なものでした。
当元社員は当時、大阪市立大学の非常勤講師であり、臨床研究に関わる活動と会社の業務 を隔てる手立てを講ずれば、臨床研究に携わることができると誤って理解していました。当時、当元社員だけでなく、上司や研究者においても、同様の誤解をし ていた人たちがいたと考えています。
最新の調査によれば、以前当社が発表したKYOTO HEART studyにおける当社社員の関与についての見解が事実と相違したものであることが判明しました。以前に発表した見解は、その時点での調査や認識に基づくものでした。本報告にて訂正し、お詫びいたします。
ノバルティスでは、社員全員が会社の行動規範に従うよう、厳格なルールを定めています。この行動規範は、常に専門家とし て倫理的で正しい行動を取ること、および正しい業界ルールに従って行動を取ることを定めており、ノバルティスグループ企業では、全世界ですべての従業員に 対して雇用条件として義務付けています。
ノバルティスは、業務のあらゆる場面において、倫理的な業務遂行と規制遵守に対し高い基準で取り組んでいます。また、ノバルティスの行動規範は、ヘルスケアビジネスおよび法令その他の規制の変化に応じて改訂し更新されています。
ノバルティスは本件を極めて重大なこととして認識しており、さらに調査を進めます。そして、その結果に基づき、必要かつ適切な措置を講じます。また、学会や臨床の先生方と協働し、推奨される臨床研究への変革に前向きに取り組んでまいります。
今回の調査の対象となった、日本で実施されたこれらのバルサルタンの医師主導臨床研究の結果は、バルサルタンの承認申請や追加適応取得の資料としては使用されておりません。
バルサルタンは、ノバルティス ファーマ(スイス・バーゼル)で開発された「高血圧症」に使用される薬剤です。 1996年にドイツで承認されて以来、世界約100カ国で承認されています。日本では2000年9月に承認され、同年11月に発売されました。また、 2010年10月には薬事法に基づく再審査の結果を受領し、市販後の有効性及び安全性に関する審査を終えています。
ノバルティスの定める行動規範(コード オブ コンダクト)についての詳細は下記をご参照ください。
※ 再審査とは、新医薬品について市販後の一定期間(8年程度)に集められた有効性・安全性の結果を国が審査する制度です。

ノバルティスファーマー社HPより)』

捏造や改ざんはあったのでしょうか。

2013年5月25日土曜日

人ES細胞作製の報告論文に不正疑惑

人ES細胞の作製したと報告した論文に不正疑惑が浮上しセル誌が調査しています[1][2]。ソウル大の黄禹錫による捏造事件を思い出します。

Reference
[1]Retraction Watch:"Cell reviewing allegations of image reuse in human embryonic stem cell cloning paper" 2013.5.22
[2]ScienceInsider:"Cell Investigating Breakthrough Stem Cell Paper" 2013.5.22

2013年5月24日金曜日

京都府立医大、ノバルティスファーマ社と取引停止 - バルサルタン臨床研究不正

『京都府立医大:「ノバルティスファーマ」社と取引停止

毎日新聞 2013年05月23日 22時54分

 京都府立医大病院(京都市上京区)は23日、製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)の医薬品を原則として取引停止にすると発表した。記者会見した北脇城副院長は「市民からノ社との癒着を疑われかねず、同社に抗議の意を示した」と話した。

 同病院によると、対象となる薬は降圧剤「バルサルタン」を含む30~40種類で、年間の購入費約3億円に相当する。多くの薬には代替品が存在するという。【五十嵐和大】



京都府立医大は取引停止でノ社に抗議。再発防止をきちんとやってほしいです。

2013年5月22日水曜日

熊本大学、大阪市立大学の研究不正疑惑の告発

熊本大学大学院生命科学研究部(医学系)生体機能薬理学分野と大阪市立大学に研究不正疑惑の告発がなされるようです。被告発者の教授は今話題のバルサルタン臨床不正疑惑でKYOTO HEART Studyの撤回論文のEndpoint Committeeのメンバーを務めていました。今後どうなるのでしょうか?

2013年5月21日火曜日

千葉大、バルサルタン問題を調査

『バルサルタン:千葉大が臨床試験の経緯を調査

毎日新聞 2013年05月21日 13時29分

 降圧剤「バルサ ルタン」の臨床試験を巡る京都府立医大の論文撤回問題に関連し、千葉大は21日、同大の研究チームが実施した類似の臨床試験の経緯について、調査を始めた ことを明らかにした。臨床試験には、京都府立医大と同様に薬の販売元「ノバルティスファーマ」(東京)の社員が関与したことが分かっている。

 臨床試験は、高血圧患者を対象に実施。バルサルタンを使った患者で心臓と腎臓の保護作用が確認できたとして、2011年の日本高血圧学会誌に論文が掲載された。調査は今月17日に開始した。

 同大は臨床試験の費用について「金額は即答できないが、製薬会社から受けたと思われる」と話す。同様の臨床試験については、京都府立医大、千葉大、東京慈恵会医大、滋賀医大の4大学の試験結果に対して、専門家から疑問の声が出ている。【宮地佳那子】


きちんと調査してほしいものです。

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本日から学術研究に関する記事を紹介します。