2014年8月29日金曜日

前総長側の主張覆す新証拠採用か 東北大研究不正控訴審

 東北大の井上明久前総長(66)の研究不正疑惑を指摘した同大名誉教授らに対し、井上氏が名誉毀損(きそん)だとして損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、29日に予定されていた仙台高裁の判決が延期され、弁論が再開されることがわかった。井上氏側に不正があったとは言えないと、一審で仙台地裁が判断した根拠を否定する文書が、新たに証拠として採用される可能性が高い。
 井上氏側の主張を否定する文書を書いたのは、井上氏の元部下で、東北大金属材料研究所の横山嘉彦准教授。当初は、井上氏側の原告の1人だった。
 井上氏は、強度が高くさびにくいとされる「金属ガラス」の第一人者だ。だが、直径3センチの金属ガラスを作ることができたとする1996年の論文などについて、他の研究者が再現できない、などとして不正の疑惑が浮上。この疑惑を指摘した名誉教授らを、井上氏側が2010年、名誉毀損で提訴した。一方、名誉教授らも反訴した。
 一審判決は、東北大が立ち上げた調査委員会の報告を根拠に、井上氏の論文が「虚偽のものであるとは言えない」と結論づけた。この報告の根拠となったのが、横山氏が井上氏と共同で07年に発表した論文。96年の論文と同様に直径3センチの金属ガラスを作れたとの内容で、これによって井上氏の論文の内容が再現されたと調査委は認めた。
 だが横山氏は今年4月の控訴審結審後に名誉教授側が高裁に提出した文書で、07年論文と井上氏の論文は研究手法が異なり、「再現」にはならないと主張。07年の論文ではその違いを示す記述が井上氏に削除されたとして、「私の意図とかけ離れたものになってしまった」と証言している。
 井上氏の代理人の大室俊三弁護士は「井上氏の論文が07年の論文で再現されたと、調査委が報告している事実は動いていない」と話す。

■疑惑否定の論文、元部下「せかされ執筆」
 横山氏は朝日新聞の取材に応じ、07年の論文を執筆した当時の状況や、井上氏との関係について語った。
 横山氏は04年、井上氏が所長を務めていた東北大金属材料研究所に赴任した。一審判決が井上氏側の不正を否定する根拠とした論文を書いた07年当時は、「精神的に追い詰められていた」という。井上氏から、「業績の少なさ」を理由に辞職を促されたからだ。
 当時は複数の論文の執筆を並行して進めていたが、「(井上氏から)この論文だけは、すごくせかされた。私は知らなかったが、(疑惑否定の根拠として)この論文を使おうと思っていたとしか思えない。非常に腹立たしいし、不本意」。直径3センチの金属ガラスができたと、その根拠が十分ではないのに論文に書いた理由については「記憶にない。ほかの研究に興味があり、私には重要な論文ではなかった」と述べた。
 横山氏は、井上氏について「午前2時半まで働き、午前7時に出勤するような働きぶりを見て、尊敬していた」。ただ、実験がうまく行かないと「なぜ できないのか」と繰り返し問い詰められることもあった。「当時は教育だと思っていたが、いま思えば、やり過ぎだ。マインドコントロール的なものがあったの かもしれない」と振り返る。
 損害賠償訴訟で当初、原告に加わったのは、井上氏から強く求められたためと説明する。断ったが、押し切られたという。井上氏が総長を退任して東北大を去ってから約1カ月後の12年5月、原告から降りた。
 昨年11月には、07年の論文を掲載した日本金属学会の学会誌に撤回を申し出た。仮に撤回されれば、大学の調査委の報告は、井上氏の論文に不正がないと判断した根拠の一部を失うことになる。(小宮山亮磨)

朝日新聞

小宮山亮磨
2014年8月29日13時59分


写し

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控訴審判決はどうなるでしょうか。

2014年8月3日日曜日

東大論文不正:北川教授、捏造や改ざん 群大が研究活動精査へ /群馬

東大論文不正:北川教授、捏造や改ざん 群大が研究活動精査へ /群馬

毎日新聞 2014年08月02日 地方版

 東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループによる論文不正問題で、中核メンバーだった北川 浩史(ひろちか)・群馬大教授が論文の捏造(ねつぞう)や改ざんをしていたと認定された。群馬大は1日、調査委員会を設置し、北川教授の研究活動を精査す る方針を決めた。
 東大の科学研究行動規範委員会は今回、画像の不適切な切り張りなどがあった論文51本のうち5本の調査 結果を公表し、すべてに不正があったと認定。北川教授はうち4本の筆頭筆者だった。きれいに結果の出た部分の画像をコピーして別の部分に張りつけたり、反 応が出ない方が都合のよい部分に白い長方形をかぶせたりといった図の不正加工は「懲戒処分に相当する可能性がある」という。
 北川教授は2009年10月まで加藤氏の研究グループに在籍し、翌11月に群馬大生体調節研究所教授に就任。東大は外部からの指摘を受け、12年1月から加藤研の論文の調査を進めていたが、群馬大はこれまで独自調査をしていなかった。【尾崎修二】

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群馬大学はどこまで調査するのでしょうか。