2014年12月19日金曜日

STAP、夢のまま終幕 理研「一つもできなかった」

長野佑介、佐藤達弥、矢吹孝文
2014年12月19日14時04分

 「科学の常識を覆した」と称賛された成果が淡く夢と消えた。理化学研究所は19日開いた記者会見で、STAP細胞は確認できなかったと結論づけた。4月に「STAP細胞はあります」と涙ながらに訴えた小保方晴子氏は、理研を去ることが明らかになった。
 「まず、最初に結論を申し上げさせて頂きます。STAP現象は再現することができませんでした。来年3月までの予定だったが、検証実験を終了することとしました」
 冒頭、実験総括責任者の相沢慎一特任顧問が実験の打ち切りを告げ、会見は始まった。東京都内の会場には約200人の報道陣が詰めかけ、用意した席はほぼ満席状態だった。
 相沢氏は小保方氏が7月から始めた検証実験について、スライド画像で説明。小保方氏は論文にある手法で、STAP細胞のような細胞を作製。別のマウスの受精卵に1615個の細胞の塊を移植し、細胞が混ざり合った「キメラマウス」が出来るかを、別の研究者が確認した。
 キメラマウスができれば、STAP細胞が存在する有力な証拠となる。だが、相沢氏は「キメラは作ることができなかった」と説明した。
 次いで、独自に検証実験を進めてきた丹羽仁史チームリーダーが説明。同様にキメラマウスができるかを確認したが、「244個の細胞塊を入れても、 一つもできなかった」と話した。相沢特任顧問は「これ以上の検討は、検証実験の範疇(はんちゅう)を超えるものと考える」と話し、検証実験を終了すること にしたと説明した。
 2時間以上にわたる会見を終え、退席しかけた相沢氏は立ち止まり「モニター監視や、立ち会いを置いた小保方さんの検証実験は、科学のやり方でない。そういう実験をしてしまったことに、検証実験の責任者としておわび申し上げるとともに、深く責任を感じている」と謝罪した。

■小保方氏の姿なく
 与えられた環境の中で魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切りました――。
 理研へ退職願を出した小保方晴子氏はこの日、コメントを発表した。「STAP細胞はあります」と自信をのぞかせた4月から一転。この日の会見に姿はなかった。
 小保方氏は4月の会見で「もう200回以上作製に成功しています」と強調した。存在を示す実験試料を研究室の中で保存している、とも説明していた。
 理研は7月、別の検証実験と並行して、小保方氏による実験をスタート。監視カメラと第三者の立ち会いのもと、論文どおりにSTAP細胞をつくれるのか検証してきた。理研の説明によると、小保方氏は11月29日まで再現を試みた。週4日は細胞培養をし、四十数回にわたり実験を繰り返したという。しかし期限の11月末までに再現することはできなかった。
 検証終了の判断は、相沢慎一・検証実験チームリーダーから直接、小保方氏に伝えられた。相沢氏は会見で「彼女自身は再現できなかった事実は認めて いるものの、なぜできなかったかという理由については困惑している。受け止められる状態ではないと思う」と述べた。会見は検証結果を説明する場だとして、 小保方氏には出席を求めなかったという。
 小保方氏は早稲田大大学院を経て、2011年に理研の客員研究員になり、13年には理研発生・再生科学総合研究センターのユニットリーダーに就任した。

■難病患者ら「存在してほしかった」
 「最後まで信じていたのですが……」。手足の先から筋力が低下していく原因不明の難病「遠位型ミオパチー」。患者会(東京都)の代表代行・織田友理子さん(34)は声を落とした。
 診断されたのは22歳。いまは自力で歩くのも困難という。「小保方さんが『STAP細胞はあります』と言い切っていた。本当であってほしかった」と話したうえで続けた。「難病の解明につながる研究は、自分の病とつながらなくても希望や励みになります。今回のことで日本の研究が後退しないよう願っています」
 脳の神経細胞が減って手足がふるえ、運動機能が低下するパーキンソン病。約8200人の患者団体「全国パーキンソン病友の会」(東京都)で常務理事を務める高本久さん(68)は、8年間にわたって実母(2011年死去)を夫婦で介護した。「会員同士の会合でも『STAP細胞が存在していてほしい』と願う声は根強かった」と語った。
 小保方氏の発表は女性の研究者に勇気と力を与え、メディアも「リケジョ(理系女子)」として取り上げた。神戸大大学院農学研究科で 分子栄養学を研究する山下陽子・特命助教(32)も「未来は明るい、ということを見せてくれた」「研究に興味をもつ女の子が増えてほしい」と期待した一人 だった。だが、いまは失望感だけが残る。「研究の世界に小保方さんが残したものは、『実験データには注意しないといけない』ということです」
 大阪府立大大 学院の工学研究科で物質化学を研究する平山由布妃(ゆうき)さん(23)も「女性も立派な成果を上げている」とモチベーションが上がった。その後、疑惑が 報じられると、教授からノートの書き方やデータの見方を厳しく指導されるようになった。「どんな実験データも正直に受け止めよう、と心がけるようになりま した。プラスの教訓もあった」。平山さんは、そう考えている。(長野佑介、佐藤達弥、矢吹孝文)

朝日新聞

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公式発表された。

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