東京慈恵会医科大の内科医が、国の科学研究費補助金(科研費)を申請する際、研究業績を偽って申告していた疑いがあることがわかった。大学は調査委員会を設けて事実関係を調べている。
文部科学省などによると、科研費の
申請書で、研究業績として論文を記載する部分に、他人の論文を自らが執筆に加わった論文だと記載していた。名前の英文表記が同じ研究者の論文を自分の業績
のように見せかけ、執筆論文を上乗せしていた。例えば「朝日太郎」だとすると、「T.Asahi」と記された「朝日敏男」や「朝日哲夫」といった名前の研
究者の論文を自分の論文としていた。同様の手法を使っていた研究者が同大に複数いるとみられるという。
慈恵医大によると、学内でうわさとなり、昨年12月に調査委員会を設置して、詳細を調べ始めた。
科研費は、国が独創的・先駆的な研究を公募し、採択された課題に研究費を助成する制度。2013年度の予算は2381億円。慈恵医大には147件2億7885万円が支給されている。
文科省学術研究助成課は「大学から3月に調査について連絡を受けた。当該医師は科研費の使用を一時的に停止していると聞いている」としている。
慈恵医大広報推進室は「科研費申請のプロセスでルールに沿っていない事例があることが判明した。調査委の報告がまとまるまで詳細は答えられない」としている。(西川迅)
朝日新聞 2014.4.20
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