2014年12月26日09時15分
「STAP細胞」とされたものの正体は何だったのか。その解明を進めてきた理化学研究所の調査委員会が26日、結論を発表する。1月の論文発表以来、国民的関心を集めてきた騒動に理研として区切りをつけることになる。
調査委は26日午前、委員長の桂勲・国立遺伝学研究所長をはじめ、大学教授や弁護士ら6人の委員が同席して東京都内で会見に臨む。その報告を受けて、理研の川合真紀理事らが理研としての対応を発表する。
調査委の報告書では、STAP細胞からつくったとされる試料の中に別の万能細胞であるES細胞が混入していた可能性が高い、とされる見通しだ。混入は故意である疑いがぬぐえないという。
ES細胞は作製方法がすでに確立された万能細胞で、研究現場では広く利用されている。「ES細胞説」は、STAP論文を疑問視する研究者らからこれまでもたびたび指摘されてきた。
ただ、小保方晴子氏の論文作成を指導した理研の笹井芳樹氏(故人)や丹羽仁史氏ら共著者は、これまで「STAP細胞がないと説明できない現象がある」としてきた。
その一つが、万能性の証拠となる「キメラマウスの実験」で、胎児と胎盤の両方が同時にできたとされることだ。ES細胞では同時につくることはできないとされ、撤回された論文には、マウスの胎児と胎盤がともに緑色に光る写真が掲載され、STAP細胞からできた証拠とされた。
しかし、キメラマウスの実験をした本人である若山照彦・山梨大教授が6月の会見で「ES細胞からつくったマウスでも、胎児と胎盤が同時に緑に光ることがある」と釈明した。実験データを自らの目でよく確認せずに、論文が発表された可能性がある。
また、真相解明を難しくする要因の一つに、論文が複雑な役割分担で作られていった事情がある。STAP細胞の論文の共著者は計14人。小保方氏が米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授のもとでSTAP細胞の
研究を始めたのが2008年。11年4月からは、当時理研のチームリーダーだった若山氏の研究室で研究を続けた。論文は一流科学誌で何度も不採用になった
が、笹井氏の指導で書き直され、英ネイチャー誌で採用された。こうした役割分担のなかで、笹井氏が亡くなり、小保方氏も理研を去った。謎の部分も残ること
になる。
朝日新聞
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