クローズアップ2013:バルサルタン臨床試験疑惑 元検事の郷原信郎弁護士の話
毎日新聞 2013年08月10日 東京朝刊
◇「刑事告発も視野に」−−企業コンプライアンスの専門家で、独占禁止法に関する著書のある元検事の郷原信郎弁護士の話
ノバルティスファーマが、内容が事実と異なることをあらかじめ認識した上で、臨床試験の論文をバルサル タンの売り上げ拡大のために使っていたのなら、誇大広告を禁止する薬事法66条に抵触する可能性がある。まずは医薬品を所管する厚生労働省が徹底調査し、 行政処分などを検討すべきだ。同条には罰則(2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金)もあり、刑事告発も視野に入れる必要がある。一方、こうした行為は医薬品市場の公正な競争を妨げるととらえることもできる。つまり、ノ社が他社の製 品よりも著しく優良であると医療関係者に誤認させ、販売を拡大しようとしたとすれば、不公正な取引方法を禁じた独占禁止法19条(欺まん的顧客誘引)に違 反する可能性も出てくる。不正な論文が撤回され、心疾患などへの効果の根拠が失われたならば、その宣伝を排除する必要がある。
医薬品の問題なので、第一次的には所管の厚労省が薬事法の適用で対処すべき問題だ。しかし、それが十分に機能しない場合は、市場における競争全般を領域とする公正取引委員会が医薬品事業者に対する調査に乗り出し、排除措置の行政処分を行うこともあり得るだろう。
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刑事告発は必要です。
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